お茶畑の緑と、それを包み込むやや濃い緑、そしてそれをまた包み込む澄み切った青、最高のコントラストを楽しめるのがこの季節。
『天高く、馬肥ゆる秋』食べすぎには注意したいですね。(笑)
お茶をお召し上がりいただいているお客様、始めてのお客様、奈良の高原で自然に沿ったお茶作りを、愉快な仲間と取り組んでおります健一自然農園の伊川健一と申します。
奈良の大仏様から東へ車を走らせますと、そこにはとっても懐かしい日本人の心のふるさとが広がります。くねくねと山に沿った道をゆけば、黄金色の稲穂が揺れる水田が優しく迎えてくれます。 風景に溶けた様に古民家が現れ、その脇には愛らしい野菜畑が、そして山際に目をやれば、山々と折り重なるようにして美しく手入れされた茶畑が目にとまります。
毎日この風景と出会いますが、いつも僕はやっぱり懐かしくて優しい気持ちになるのです。
日本人である僕のDNAのなかに深く刻まれている記憶が喜んでいるのがわかります。
終戦後、必死にこの国を立て直そうとしてくださった方々がおられました、お陰さまで私をはじめとする次の世代は、雨風気にせずゆっくり休める、お腹を空かせて泣くことのない暮らしを享受させてもらって参りました。 その一方、『お天道様が見ている』要するに、大自然のお陰さまで人は生かされていて、謙虚な気持ちと感謝を大切に生きにゃぁいかんよと言うことを実感することが難しくなりました。
と同時に、早さ、便利さ、全てお金に換算するといった、物質文明の良くない部分が、心のつながりを分断させ、自分さえよかったら(自分さえ大事にできなくなってゆくのですが…)というおかしな個人主義が、様々な社会問題をひきおこしております。
振り返れば15歳の頃、僕はこの言いようのない生き心地の悪い現代に、アレルギー反応を起こしておりました。これだけ色々と技術が向上して住み良くなったこの国において、後は自然と人のあり方をきちんと見直せば、世界のお手本になるような国になれるのにと本気で思いました。
そして模索しながら生きました。諦めない気持ちで続けました、その結果32歳の今、一万五千坪の自然農園を運営しています。
茶畑、田んぼ、畑が大和高原じゅうに三〇箇所以上になりました。
そしてその一箇所一箇所に代々地域の方々が守り伝えてこられた歴史が染み込んでおります。
健一自然農園で大切にしているお茶作りの要と、僕がこの農園を通して伝えたいことをご紹介いたします。
一、 太陽 土 水の自然界が産み育ててくれるめぐみを素直に受け取らせていただくこと。
二、 常に五感を働かせ、自然と対話すること。
三、 この土地をつないできて下さったご先祖様を大切にする。
四、 小さな里山から世界の視野を持つこと。
五、 素直な自分になってゆくこと。
六、 常に成長を意識すること。
七、 感謝を胸に自らが幸せになってゆくこと。
八、 七世代先をイメージすること。
九、 人を笑顔にできる働き方を追求すること。
十、 育める人になること。
上記を大切にまだまだ老舗には遠い若い茶園ではございますが人も生き物も健やかになってゆくお茶作りにとり組んでおります。
舌先で感じる作られた旨みではなく、清浄な香味と喉を通る時に感じるじっくり育った結果としての深いコクを味わっていただける、そしてそのお茶の育った風景の見えるお茶作りをモットーに皆で励んでおります。
元来、おおいなるめぐみの結果にこの星に住まわせて頂いている私たちは、いのちを頂きその頂いた元気でもって働くことで、『端を楽に』⇒『周りを楽しく』する、それが仕事をする原点ではなかったでしょうか?
物質的に満たされた時代において、今度はこれまで悠久の時を経てめぐみを与えてくれた、山川海田畑を心を込めて手入れさせて頂くのが現代の仕事になってゆくのではないでしょうか?
例えば、鮎が大阪湾から大和川を遡上してくるようなそんな環境を、未来の子どもたちにつなげられたら素敵だと思いませんか?
美しい川の流れのそばに閑静な茶屋でも立てて、鳥の声を聞きながら一服のお茶をお召し上がり頂く…何気ないおもてなしの心が宿った社会を僕らは、まさに上流部から拵えんとしております。
まずは、自然のお茶を味わって頂き、いっそう元気になって頂き、また茶畑にお茶摘みにいらしてください!身も心も解けて、楽しんでいただけます。そして、ともに美しい自然と心豊かな人々が暮らす社会を作ってゆきましょう!
おおいなる夢の話になりましが、空想でなく一歩一歩実現してゆきたく思いますので、どうぞ皆様応援いただけましたら幸甚でございます。
最後までお読みいただき誠にありがとうございます。
お会いできますこと楽しみに♪。.:*・゜
2014年9月3日 健一自然農園 代表 伊川健一